2005/02/28
今日は久しぶりに、『花と爆弾』の読者の方から届いた言葉をご紹介します。この方とは、ネット上の英語関係のコミュニティー・サイトで知り合いました。そこでの交流がご縁で、『花と爆弾』を購入してくださり、ご感想も送っていただきました。
少しご紹介させていただきますね。
--- 日本語と英語の両方の短歌を、じっくりと想像力を働かせながら読みましたが、電車の中で読んだので、涙が出そうになるのを、堪えるのが大変でした。(中略)
この本の中で一番涙が出そうになったのは、憧れのお人形と遊ぶことなく、小さな夢を抱きながら消えてしまった女の子の話です。(後略)
日本にいると、ニュースの中でしか今イラクで何が起こっているのか知ることもないので、いつしか遠い世界の関係ないできごとのような錯覚におそわれることがあります。でも、ほんの何時間飛行機にのるだけで行くことのできる場所で、こんなむごいことが行なわれているのは、自分に無関係なわけがありません。---
『花と爆弾』を読んで、アフガンやイラクで起こったこと、また起こっていることを自分に関係のあることとして感じてもらえたことにとても嬉しく思いました。また、「何時間かで飛行機で行ける場所」という捉え方が、とても新鮮というか、具体的なイメージを提示されて、ハッとさせられました。アフガニスタンに行かれて活動されている方々の旅の苦労話をよく聞いていたものですから、何となく「地理的にはすごく遠い」という感覚を持っていましたが、もしも直行便があれば太平洋をはさんだアメリカよりもずっと近いのですよね。ほんとうにいつか近い将来、治安も落ち着いて、日本からでも旅行客が気軽にいけるような国になって欲しいと改めて感じました。
そんなこんなで、もっとイラクやアフガンの人たちを身近に感じてみようと思い立ち、今日はイラク料理に挑戦してみました。本棚にしまい込んであったエスニック料理の本を開けると、マクルゥバというお米料理ととサラタ・ズバーディというキュウリのサラダのレシピが載っていたので、早速食材を買いに行き作ってみましたが、これがなかなか美味でした。今までに考えたこともないような調理法で(トマトジュースでお米を炊いたり、シソの葉のみじん切りをヨーグルトに混ぜたり)、作っている最中は「だいじょうぶかな~」と心配になりましたが、できあがってみると何とも言えないおいしさ!主人も「おいしい、おいしい」と大喜びで、来週はアフガニスタン料理に挑戦することになりました。
今まで、支援させていただいている人たちがどんなものを食べているのか、そんな大切なことにも思いを巡らす心の余裕もなくこの活動をしていたんですね。一人の読者の方が、また私の世界の見方を広げてくれた、そんな素敵な週末となりました。
少しご紹介させていただきますね。
--- 日本語と英語の両方の短歌を、じっくりと想像力を働かせながら読みましたが、電車の中で読んだので、涙が出そうになるのを、堪えるのが大変でした。(中略)
この本の中で一番涙が出そうになったのは、憧れのお人形と遊ぶことなく、小さな夢を抱きながら消えてしまった女の子の話です。(後略)
日本にいると、ニュースの中でしか今イラクで何が起こっているのか知ることもないので、いつしか遠い世界の関係ないできごとのような錯覚におそわれることがあります。でも、ほんの何時間飛行機にのるだけで行くことのできる場所で、こんなむごいことが行なわれているのは、自分に無関係なわけがありません。---
『花と爆弾』を読んで、アフガンやイラクで起こったこと、また起こっていることを自分に関係のあることとして感じてもらえたことにとても嬉しく思いました。また、「何時間かで飛行機で行ける場所」という捉え方が、とても新鮮というか、具体的なイメージを提示されて、ハッとさせられました。アフガニスタンに行かれて活動されている方々の旅の苦労話をよく聞いていたものですから、何となく「地理的にはすごく遠い」という感覚を持っていましたが、もしも直行便があれば太平洋をはさんだアメリカよりもずっと近いのですよね。ほんとうにいつか近い将来、治安も落ち着いて、日本からでも旅行客が気軽にいけるような国になって欲しいと改めて感じました。
そんなこんなで、もっとイラクやアフガンの人たちを身近に感じてみようと思い立ち、今日はイラク料理に挑戦してみました。本棚にしまい込んであったエスニック料理の本を開けると、マクルゥバというお米料理ととサラタ・ズバーディというキュウリのサラダのレシピが載っていたので、早速食材を買いに行き作ってみましたが、これがなかなか美味でした。今までに考えたこともないような調理法で(トマトジュースでお米を炊いたり、シソの葉のみじん切りをヨーグルトに混ぜたり)、作っている最中は「だいじょうぶかな~」と心配になりましたが、できあがってみると何とも言えないおいしさ!主人も「おいしい、おいしい」と大喜びで、来週はアフガニスタン料理に挑戦することになりました。
今まで、支援させていただいている人たちがどんなものを食べているのか、そんな大切なことにも思いを巡らす心の余裕もなくこの活動をしていたんですね。一人の読者の方が、また私の世界の見方を広げてくれた、そんな素敵な週末となりました。
2005/02/21
今日は新開地のカフェ・ナフシャで開かれたユカラ(神謡集)・ムックリ(口琴)を見にいきました。北海道二風谷のアイヌ民族であるアシリ・レラさんがアイヌに伝承される昔話のような神話のような語りや、ムックリ演奏、そしてレラさんのお子さんたちが伝統の踊りを披露してくれるというイベントでした。
レラさんの言葉にとても感銘を受けましたので、紹介させていただきますね。
アイヌ民族はかむい(神の掟)があり、人が人を殺さない。必要以上に狩らない。動物の肉や植物をいただく時は、命をいただいくことに感謝して、そして地球にとって良いことするようにしないといけない。それでこそ命を捧げてくれた動物や植物も喜んでくれる。
この言葉のとおり、アイヌの神話にも踊りにも、自然やそこに宿る神への感謝と畏敬の念がこめられていました。披露してくれた踊りのひとつを紹介します。アイヌの男の子は17才になると鹿を狩ることが求められ、鹿を狩ることで一人前の男として認められるのですが、キジさえも狩る(殺す)ことをためらう男の子が、苦悩と葛藤の末に鹿を狩り、大人となっていくという踊りでした。鹿を狩るという儀式の勇壮な面だけではなく、生き物を殺すという負の部分というか葛藤を踊りにして、伝承しているところにとても感動しました。
もうひとつの踊りは、武器を持って殺し合う(=戦争)を放棄し、刀も持っていなかったアイヌが、日本人の侵略を受け、刀を持って蜂起したけれども、再び刀をおき、もう再び刀をとって戦うことをしない、ということを表現したものでした。
どんどん暴力的になっていく世界。ようやく京都議定書が発行されても、大国のエゴはとどまることを知らず、環境破壊をくい止められない世界。そんな世界において、アイヌの人たちに伝承されてきたこれらの神話、踊り、そして何よりもその基盤となる生きとし生けるものへの感謝と畏敬の念は、私たちに多くのことを教えてくれているのではないかと、強く感じた夕べでした。
「アシリ・レラ 新しい風~」写真展は、ナフシャさんにて2月27日まで開催されています。詳しくはこちらまでhttp://fox.zero.ad.jp/~zar78600/sub2.htm
レラさんの言葉にとても感銘を受けましたので、紹介させていただきますね。
アイヌ民族はかむい(神の掟)があり、人が人を殺さない。必要以上に狩らない。動物の肉や植物をいただく時は、命をいただいくことに感謝して、そして地球にとって良いことするようにしないといけない。それでこそ命を捧げてくれた動物や植物も喜んでくれる。
この言葉のとおり、アイヌの神話にも踊りにも、自然やそこに宿る神への感謝と畏敬の念がこめられていました。披露してくれた踊りのひとつを紹介します。アイヌの男の子は17才になると鹿を狩ることが求められ、鹿を狩ることで一人前の男として認められるのですが、キジさえも狩る(殺す)ことをためらう男の子が、苦悩と葛藤の末に鹿を狩り、大人となっていくという踊りでした。鹿を狩るという儀式の勇壮な面だけではなく、生き物を殺すという負の部分というか葛藤を踊りにして、伝承しているところにとても感動しました。
もうひとつの踊りは、武器を持って殺し合う(=戦争)を放棄し、刀も持っていなかったアイヌが、日本人の侵略を受け、刀を持って蜂起したけれども、再び刀をおき、もう再び刀をとって戦うことをしない、ということを表現したものでした。
どんどん暴力的になっていく世界。ようやく京都議定書が発行されても、大国のエゴはとどまることを知らず、環境破壊をくい止められない世界。そんな世界において、アイヌの人たちに伝承されてきたこれらの神話、踊り、そして何よりもその基盤となる生きとし生けるものへの感謝と畏敬の念は、私たちに多くのことを教えてくれているのではないかと、強く感じた夕べでした。
「アシリ・レラ 新しい風~」写真展は、ナフシャさんにて2月27日まで開催されています。詳しくはこちらまでhttp://fox.zero.ad.jp/~zar78600/sub2.htm
2005/02/08
昨日は、ベトナム帰還兵のアレン・ネルソンさんの講演会「あなたは本当の戦争を知らない」を大阪まで見に行ってきました。ネルソンさんの著書『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか』は、全国学校図書館協議会選定図書にもなっていますし、また少年マガジンで漫画化されたそうですので、もうすでに読まれた方も多いのではないでしょうか?戦争の悲惨さを本当にわかりやすく、子供にもわかるように書かれた本ですので、興味を持たれた方は是非お読みください。
内容については詳しくは触れません。私はこれまでも、戦争に伴う残忍で無慈悲な行為や非人間性について、文献などをとおして嫌と言うほど知っていましたが、体験してきた人から直接語られる言葉には、文献で読んだものとは違う、重みと哀しみが含まれていたことだけは、お伝えしておきたいと思います。
講演会が終わった後、私はネルソンさんに話しかけ、私も平和活動をしていることを告げ、『花と爆弾』を一冊差し上げました。ネルソンさんは、とても喜んでくれて、笑顔で私の詩集をめくってくれました。他にもネルソンさんとお話したい方が、後ろに列を作って待っていたので、私はネルソンさんと握手をして、その場を去りました。
帰り道、ネルソンさんの笑顔と、どちらかというと小さくて柔らかいネルソンさんの手を思い出していました。そして、なぜか実感しました。あんなやさしい手をしたネルソンさんが、ジャングルで敵を殺し、村を焼き討ちし、女、子供を殺さなければならなかったのだと。ネルソンさんは当時18才でした。高校を中退して、貧困に喘いでいました。18才。まだお酒も飲んではいけないような未成年が、ベトナムのジャングルで人を殺すためだけの訓練を受け、人を殺すたびに誉められるという境遇に送り込まれたのです。
ネルソンさんにとって、そんな永遠に忘れ去ってしまいたい記憶を人前で語ることは、どんなに辛いことでしょう。こうして講演会で語るたびに、そしてベトナムのことを思い出すたびに、ネルソンさんは傷つき、そして、同時に何年経っても自分を苦しめ続ける戦争という怪物と戦っているのだと、そう確信しました。
『花と爆弾』に戦禍に巻き込まれた子供たちを表した短歌があります。でもそれは、故郷から遠く離れた殺戮の地に送り込まれた若い兵士を歌ったもののように、今夜は感じられのです。
髭切られうずくまりいる猫独り 瓦礫の街の月を見ている
内容については詳しくは触れません。私はこれまでも、戦争に伴う残忍で無慈悲な行為や非人間性について、文献などをとおして嫌と言うほど知っていましたが、体験してきた人から直接語られる言葉には、文献で読んだものとは違う、重みと哀しみが含まれていたことだけは、お伝えしておきたいと思います。
講演会が終わった後、私はネルソンさんに話しかけ、私も平和活動をしていることを告げ、『花と爆弾』を一冊差し上げました。ネルソンさんは、とても喜んでくれて、笑顔で私の詩集をめくってくれました。他にもネルソンさんとお話したい方が、後ろに列を作って待っていたので、私はネルソンさんと握手をして、その場を去りました。
帰り道、ネルソンさんの笑顔と、どちらかというと小さくて柔らかいネルソンさんの手を思い出していました。そして、なぜか実感しました。あんなやさしい手をしたネルソンさんが、ジャングルで敵を殺し、村を焼き討ちし、女、子供を殺さなければならなかったのだと。ネルソンさんは当時18才でした。高校を中退して、貧困に喘いでいました。18才。まだお酒も飲んではいけないような未成年が、ベトナムのジャングルで人を殺すためだけの訓練を受け、人を殺すたびに誉められるという境遇に送り込まれたのです。
ネルソンさんにとって、そんな永遠に忘れ去ってしまいたい記憶を人前で語ることは、どんなに辛いことでしょう。こうして講演会で語るたびに、そしてベトナムのことを思い出すたびに、ネルソンさんは傷つき、そして、同時に何年経っても自分を苦しめ続ける戦争という怪物と戦っているのだと、そう確信しました。
『花と爆弾』に戦禍に巻き込まれた子供たちを表した短歌があります。でもそれは、故郷から遠く離れた殺戮の地に送り込まれた若い兵士を歌ったもののように、今夜は感じられのです。
髭切られうずくまりいる猫独り 瓦礫の街の月を見ている