2007/03/31

 
イラク・ラマディからやってきた青年

高遠菜穂子さんたちの主催する、イラク・ラマディからやってきた青年・カシームさんの報告会に行って来ました。もう何年も、イラクからのニュースと言えば、バグダッド地域の自爆テロで何名が死亡したなどという限られたものしかありませんでしたから、ラマディというスンニ派住民の多く住む地域でどのような事態になっているのか知ることのできる、貴重な機会だと思っての参加でした。

高遠さんたちが人質になったことで、ファルージャという地名は覚えていらっしゃる方も多いと思います。ファルージャもラマディもテロリストが潜伏しているとされて、何回も米軍の掃討作戦が行われている所ですが、近頃では掃討作戦が続いているのかどうなのか、それさえも日本や欧米のメディアから伝わってきていませんでした。

カシームさんのお話によると、ラマディはもう4年間ずっと米軍に占拠された状態で、学校は20校も、そしてラマディ総合病院という大きな病院も、メインストリートも、大学も米軍に占拠されている状態だそうです。「占拠」と言っても、どのようなことかピンとこないと思いますが、それは学校や病院が米軍の要塞のように使われて、ビルの屋上からは常に狙撃兵が狙っているという状態です。緊急事態には、動くものは何でも撃つ米兵が四六時中、町を監視しているのです。救急車も例外ではありません。

破壊、不当逮捕、戦闘が繰り返される4年間に、カシームさんは自分の町だけでなく、多くの愛する人たちを失いました。昨年はお兄さんもなくされました。米軍の関連する自動車事故に巻き込まれ、病院に行く途中、米軍による検問で足止めをされて、出血多量で亡くなったのです。病院に行って、適切な処置を受けることができれば、お兄さんは命を落とすことはなかった。ラマディでは多くの人々が同じように出血多量で命を落とし、遺族たちの多くは米軍への復讐を誓います。しかし、カシームさんは、そんな報復の暴力の連鎖によって人が死ぬのはもう見たくない、もっと建設的なことにこの怒りのエネルギーを向けたいと思ったのです。そして、こう考えたのです。
自分たちの住む地域に小さくてもいいから診療所を作ろう。出血を止めるような基礎的な治療しかできなくても、多くの命を救えるはずだ。

今、高遠さんたちのグループと協力して、カシームさんと仲間達は診療所の建設に励んでいます。報告会の後、私はカシームさんに『花と爆弾』を手渡して、診療所の建設のお手伝いをさせてもらいたいと告げました。彼は静かに微笑んで、右手を差し出してくれました。握手した彼の手は、とてもとても熱かった。彼の心、そのもののように。

暴力の連鎖を希望の連鎖に---ラマディのような過酷な場所でそれを実践している青年と出会えたこと、それは暗雲に一筋の光が差し込むように、私にとってこの上ない喜びとなりました。

2007/03/25

 
3周年です 

今日は『花と爆弾』が生まれた日。2004年の3月25日に出版社より送られてきた『花と爆弾』を手にして、活動を始めてから、あっという間の3年間でした。どんどん暴力的になる世界だけど、平和への願いをアートという形で訴えたい。そして、少しでもアフガンやイラクの子どもたちの役に立ちたい。そんな素朴な気持ちだけで始めた、何もかもが素人の手作りの活動でしたが、信じられないぐらい多くの皆様にさまざまな形でご支援をいただき、想像もつかなかったような素晴らしい活動をさせていただきました。

「花と爆弾」から歌を作っていただいたり(その内の1曲は去年CDにもなりました:)、素敵な絵や書をかいて頂いたり。また、ピース・ライブやチャリティー・パーティにネルソンさん講演会と様々な企画をいたしましたが、いつもたくさんの方に来ていただいて、たくさんの支援をアフガンとイラクの子どもたちに送ることができました。

そして4年目となる今年度。皆様から寄せられる平和への願いは留まることを知らず、今年度はより一層多彩な活動をさせていただけそうです。すでに本格的に決まっているものだけ、ご紹介しますと。。。

○ネットで『花と爆弾』を見つけてくださり、それ以来、熱烈に支援を送り続けてくださっている関東在住の読者さん・梅田幸一さんが、東京でピースチャリティコンサートを開催されます。元アナウンサーで奥様の梅田富子さんとミュージシャンの田中ルミ子さんによる「花と爆弾」の朗読と曲も披露してくださるそうで、とっても楽しみです。もちろん私も出席させていただきます。ご都合よろしければ、ぜひご一緒ください!
ピース チャリティ コンサート
田中ルミ子によるピアノ弾き語り
朗読:梅田富子
日時:2007年7月7日(土)
開場:15時30分 開演:16時00分
場所: 自由学園 明日館講堂 http://www.jiyu.jp/  (JR目白駅 徒歩7分)
参加費:3000円(前売り 2500円)
お問い合わせ:http://homepage2.nifty.com/peaceglobe/event.html        peaceglobe@hotmail.co.jp
☆純益は全て「花と爆弾」に託してくださいます。

○「カブールの幽霊展・抄」 in 「平和とは?展」
日時:2007年8月9日~8月14日
場所:神戸波止場町TEN×TEN http://www.k-anchor.org/
(入場無料)

2月に京都で「カブールの幽霊」展を開催されていたNPO法人Like Water Pressさんのご協力を得て実現します。戦争がどれほど子どもたちの心に傷を残すのか・・・アフガニスタン・カブールの子どもたちの描いた幽霊から感じてください。http://www.likewater-press.org/


○小橋かおる講演会「花と爆弾-暴力の連鎖を希望の連鎖に」
日時:2007年9月9日(日)
場所:尼崎市公民館(入場無料)
詳細はまだ決まっていませんが、今年6月~9月まで尼崎市公民館ではイラクの子どもたちの絵画展やアフガニスタン料理教室などを開催し、戦争と平和を考えるそうです。それらのイベントの一つとして、私の講演会も企画してくださいました。感謝です。


今年のピースライブはどうなるんだろう?ベイシェラトンのチャリティ・パーティは??と、これまでの恒例イベントについてはまだ何も決まってませんが(いつものことですが:)、今年度も楽しく、みなさんと繋がって、平和への願いを広げてゆけたらと思います。

2007/03/22

 
情けない日

4年前の3月20日、イラク戦争が始まりました。イラクの大量破壊兵器の脅威を取り除くため・・・などと理由を付けていたけど、そんなものはないことは、みんな知っていたこと(ブッシュ政権だって、知っていたのでしょうけどね)。

こんな無茶苦茶な戦争を阻止しようと、世界中で何千万人という人たちが反戦デモを繰り広げ、国連でも議論が続けられました。そんな世界中から沸き上がった反戦の声を押し切っての開戦。この戦争を止められなかった情けなさ、脱力感は、この3月20日を迎えるたびにまざまざと思い出されます。開戦から4年を経てもいっこうに治安も回復せず、国造りの基本路線すら見えてこないイラク・・・。こうなることは分かっていたからよけいに、あの開戦を止められなかったことが悔やまれます。

私みたいな一般人にできることは本当に小さなことだけど、 でも、世の中ほとんどの人が一般人なんですよね? 世界を動かしているのはほんの一握りの人たち。 その人たちが間違っていたら、私たち一般人が声を挙げて、糺していかなくてはならないと思うんです。私たちが黙っていたら、それは彼らのしたい放題を支援していることになると思うから。
こんな言葉を見つけました。

Our ignorance is their power.
私たちの無知は彼らの力

知る努力を怠らず、行動すべき時には行動する。 あの情けなさをかみしめて、自分への戒めとしたいと思います。

2007/03/01

 
遺児の夢

「もし私が誰か一人、政治家に会えるならば、アメリカのブッシュ大統領に会いたいです。このテロの事件のあと、政府はたくさんの若者を戦争に送りました。その戦争でアメリカも他国もさらに多くの死者をだしました。結果的にはアメリカは9/11による死者で苦しむだけでなく、戦争によって多くの人命をなくしました。もちろん何の罪もないアフガニスタンの人々も、家族や愛する人をなくす悲しみを味わわなければなりませんでした。だからもしブッシュ大統領に会ったら、彼を戦場の最前列に立たせたいです。国民の命ではなく自分の命が危機にさらされたら、非暴力的な手段によって争いを解決することができると思います。」
『世界の遺児 100人の夢』(あしなが育英会編著)p. 139

この夢は、9/11の同時多発テロでWTCで働いていたお父さんをなくしたレイチェルちゃん(14才)の夢です。親をテロでなくす・・・一番の被害者である子どもでも、報復戦争のもたらすものはさらなる悲しみしかないと分かっているのに・・・どうして、大人はわからないんでしょう・・・。

今日、神戸の街を歩いていて、偶然『世界の遺児 100人の夢』展覧会に出会いました。様々な理由で親をなくした遺児たちが、アフガニスタン、アメリカ、ウガンダ、インドネシアなど世界16カ国から日本に集まってきて、皆で語り合い、そして絵を描きました。集いの前は悲しい絵を描いていた子どもたちが、集いの後には仲間がいることの喜びにあふれた絵を描いていました。国境を越えた連帯感・・・悲しい思いをしたからこそ、人を思いやることができる・・・。遺児達の絵や文章を見て、様々なことを教えてもらった気がします。
この展覧会は、3/6まで、JR神戸駅地下街「デュオぎゃらりー」にて。
詳細は→http://www.ashinaga.org/index.php

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