2012/12/27

 

総選挙を振り返って:ほんとうはあなたが主人公



2012年12月16日。東日本大震災後の初めての国政選挙ということで、私もこの難局を乗り越えるために国民はどのような選択をするのかと期待と不安の中、結果を見守っていました。


結果は自民党の圧勝。唯一脱原発の姿勢を明確にせず、国防軍など極端な政策に言及していた「かつての与党」の大勝に「これが多くの国民の本音?」と一瞬唖然としましたが、この結果を受け、やはり多くの人々が唖然としている様子を見て、もっと詳しく国民の投票行動を知りたいと思いました。


そんな時出会ったのが、小林 良彰慶応大学法学部客員教授のインタビュー動画でした。計量政治学という、投票結果を数値化して分析する研究を通し、そこからこの「唖然」の正体が見えてくるのではないかと思い動画を拝見しましたが、非常に貴重な情報と見解を述べられていたので、当ブログでも少し紹介させていただきます。


まず確認したいのは、今回の選挙での自民党の得票数です。獲得議席約300と、議席数の上では圧勝と思われる自民党ですが、実は前回大敗したとされる2009年の総選挙よりも得票数は減らしているのです。今回の選挙で自民党が比例区で得たのは1662万票で、前回の1881万票よりも約220万票も少なかったのです。*



そして、小林教授は今回の選挙を「民主失望選挙」と総括されます。前回2009年の政権交代選挙は「自民懲罰選挙」であり、有権者の多くが民主党に投票しました。そして、今回は、国民との約束を果たせず、なおかつ東日本大震災への対応も失敗した民主党に失望した有権者が、「民主党以外ならばどこでもいい」との思いで投票したのだということです。結果、前回2009年に民主党に投票した人の7割近くが今回は民主党以外に投票。その内訳は1割が自民党、2割が維新、そして何割か小林教授は明らかにはされませんでしたが、「棄権した人も多かった」ということです。*

これが59%台と戦後最低の投票率となった一因とも考えられるのではないでしょうか。



そして、この投票率の低さが、2009年よりも得票数を減らしながらも自民を大勝させた最大要因ではないだろうかと私は考えます。田中優氏を始め多くの識者が指摘してされていますが、自民党を比例区で選択したのは、有権者全体の16%ほどでしかないのです。** 

2割弱の有権者の支持しか得ていない党が大勝したのですから、皆が「唖然」とするのも当然ですね。



では、なぜこのような事態が生まれたのかというと、これが小選挙区制度のなせる業と言えるでしょう。小選挙区制とはもともとは2大政党を持つ国で機能する制度であり、今回の日本のように12の政党が乱立するという状態を前提としていない制度です。事実、政党乱立の結果、選挙区によっては7割が死票となりました。*



このような選挙制度が日本に適しているものかどうなのか、今一度真摯に考え直すべきだと思いますが、この制度下で勝った政党が与党となっている現実を考えると、選挙制度の変更は、できるとしてもかなり時間がかかるでしょう。


さて、ここからが重要です。
現行制度が今後もしばらくは続くという前提で、考えてみてください。有権者の2割ほどの意向が「民意」として国政を動かしていくという奇妙さを。そして、そのような事態を生み出した要因は、4割の有権者の棄権だったということを。つまり、今回棄権した4割にものぼる有権者の投票行動によって、今後、政権も国政もいくらでも変わりうるという現実を



「自分の一票なんて、何の役にも立たない」そのように思っている人は多いかもしれません。組織票をがっちり固めて政権を獲った側は、あらゆる手段を使って、国民に「あなたの票なんて、何の意味もありませんよ」と言い続けるでしょう。


でも、そうではないのです。
ほんとうは、「あなたが主人公」なのです。

特に今の小選挙区制度では、あなたの一票が大きく結果を左右するのです。あなたは無力でも、ちっぽけな存在でもない。この国の政治を、そしてこの国の行く末を決める力を持つ、この国の一員なのです。あなたを「無力」だという様々な声をはねのけて、あなたの望む社会を思い描き、そしてあなたの一票の力で実現させてください。



今回の選挙を振り返って、これだけははっきりと言えます。
あなたが、ひとりひとりが、この国の政治を動かす主人公なのです。





 

参考サイト

*の段落の内容は下記の動画を参考にしました
マル激トーク・オン・ディマンド 第610回(2012年12月22日)
「われわれが選んだもの、選ばなかったもの」
ゲスト:小林良彰氏(慶応大学法学部客員教授)
http://www.videonews.com/on-demand/601610/002622.php
上記動画は、会員でない方もpreviewで重要な内容の一部が見られます。今回の選挙結果を考える上でたいへん参考になる貴重な情報、意見が述べられていますので、ぜひご覧ください。



**田中優の“持続する志”優さんメルマガ 第192号
http://archive.mag2.com/0000251633/20121218153002000.html




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