2024/02/08

 

PFAS:時代遅れの食品健康影響の指標値案を改善するためにパブコメを送りましょう!

 


有機フッ素化合物(PFAS)に係る食品健康影響評価に係る審議結果が公表され、2月7日から意見募集(パブコメ)が始まりました(締め切りは3月7日)。オンライン、FAX、郵送などで誰でも意見が送れます。



審議結果は、

「食品健康影響の指標値は、TDI として PFOS は 20 ng/kg 体重/日(2×10-5 mg/kg 体重/日)、PFOA は 20 ng/kg 体重/日(2×10-5 mg/kg 体重/日)と設定することが妥当と判断した。PFHxS については、評価を行う十分な知見は得られていないことから、現時点では指標値の算出は困難であると判断した。」(pp.7-8)

用語説明:TDI=耐容一日摂取量(以下、許容量)PFOS,PFOA、PFHxSはPFASの一種 ng(ナノグラム=10億分の1グラム)


という、2023年に国際がん研究機関によってPFOAが発がん性が「ある」の最高レベルに引き上げられたことを無視し、米国環境保護庁(EPA)の2023年の草案を無視して、EPA2016年の見解を採用しました。すなわち、PFAS規制の強化に向かう世界に逆行する時代遅れの指標値です。


その一例として、有機フッ素化合物(PFAS)に係る食品健康影響評価に係る審議結果のpp.224~226 の 海外評価機関による許容量の指標値の表を最後に転載しますのでご覧ください。

ここでわかるのは、胎児や子どもへの影響を予防するための指標値が、まったく反映されていないということです。

一方、欧州食品安全機関(EFSA)が2020年に設定した許容量は体重1キロ当たり0.63ナノグラム。今回の内閣府食品安全委員会が設定した許容量はPFOSとPFOAの合計は40ナノグラムで、EFSAの数値の64倍となっています。*2


2月7日にPFAS問題の先駆的研究者の小泉昭夫京都大学名誉教授による、今回のパブコメ募集を受けての緊急オンライン講座に参加しましたが、この PFOS,PFOAそれぞれ20 ng/kg 体重/日の許容量とは、血中PFAS濃度にするとPFOS<250ng/ml、PFOA<143ng/mlを引き起こす量であり、全米アカデミーズ委員会が示した健康へのリスクが高くなる血中PFAS濃度20ng/ml、ドイツが緊急に曝露対策を取る必要な値とするPFOS 20ng/ml、PFOA 10ng/mlを大きく上回り、健康への影響への不安が高まる値です。


また、小泉教授は、「このままでは、現在の水道水の暫定目標値であるPFOS、PFOA合計で50ng/Lも、今後、PFOS 50ng/L、 PFOA 50ng/L合計で100ng/Lに改悪されかねない」と非常に懸念されていました。


予防原則に立脚しておらず、特に胎児や子どもたちへの影響を考慮に入れていない、時代遅れな審議結果を受け入れるわけにはいきません。


私は、特に以下の3点をパブコメで訴えます。


1 2023年12月に出された国際がん研究機関(IARC)によるPFOAの発がん性の判断を取り入れること。発がん性物質であるPFOAについて、PFOSと同じ許容量は理解しがたい。特に、関西はPFOAに汚染されていることへの留意が必要*3


2 米国環境保護庁(EPA)の2016年ではなく、最新の指標値を採用すること。少なくとも、2020年の欧州食品安全機関(EFSA)の指標値を採用、または、EPAの最新版が発表されるまで審議を継続すること。


3 PFHxSは子どもへの影響が危惧されることから、予防原則を充分考慮して2020年の欧州食品安全機関(EFSA)の指標値を採用すること。



オンライン講座で小泉教授がおっしゃっていましたが、パブコメで国民から1万件以上の意見が寄せられると、行政も再考せざるを得ないと感じるそうです。


実際、筆者が経験したことですが、2020年に環境省が進めようとしていた放射性汚染土再利用計画が、2800件のパブコメによって「時期尚早」として止まったこともありました。*4



私たちの健康、そして何より胎児、子どもたちを守るために、パブコメを出しましょう!

私たちは、無力ではありません。



パブコメの送り先、送り方はこちらをご覧ください。

          ↓

https://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_pfas_pfas_060207.html

上記リンクにある資料:有機フッ素化合物(PFAS)に係る食品健康影響評価に係る審議結果

https://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_pfas_pfas_060207.data/pc1_pfas_pfas_060207.pdf




参照記事

*1 PFOAの発がん性、最高の「ある」に2段階引き上げ WHO専門組織 汚染問題PFASの一種

東京新聞 2023年12月3日 https://www.tokyo-np.co.jp/article/293623


*2 PFASの「摂取許容量」日本でも具体化 ヨーロッパの60倍超に、発がん性は「証拠不十分」

東京新聞 2024年1月26日  https://www.tokyo-np.co.jp/article/305491


*3 追跡“PFAS汚染” 暮らしに迫る化学物質

■クローズアップ現代 2023年4月10日 https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4767/

 全国の状況は、上記リンクを、また兵庫県の深刻な汚染状況は下記動画をご覧ください。

 どちらもとてもわかりやすいです。

■「有機フッ素化合物PFASってなに?」

丸尾まき県政報告会 2024年2月2日 https://www.youtube.com/watch?v=0fsc8rUw2Fg


*4 放射性汚染土再利用にSTOPがかかりました~そして、これから~

小橋かおるブログ 2020年4月2日 http://flowersandbombs.blogspot.com/2020/04/




資料:有機フッ素化合物(PFAS)に係る食品健康影響評価に係る審議結果より(赤枠は筆者)










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