2020/03/02

 

神戸市の新条例で、放射性物質を規制しましょう!


現在、神戸市は、(仮称)神戸市土砂の埋立等による不適正な処理の防止に関する条例(案)の制定について、市民の意見を募集するパブリック・コメントを実施しています。

パブリック・コメントサイト:(仮称)神戸市土砂の埋立等による不適正な処理の防止に関する条例(案)に関する意見募集
https://www.city.kobe.lg.jp/a48889/business/kankyotaisaku/industry/index200302.html
ネットからの意見投稿サイト:お問い合わせページによる回答
https://www.city.kobe.lg.jp/a48889/business/kankyotaisaku/industry/toiawasepesi.html
募集期間:令和2年3月2日(月曜)から令和2年4月1日(水曜)


私は、放射能から私たちの暮らしと未来を守るために神戸市の条例の安全基準に放射性物質を加えることを求め、100ベクレル/kg以上の放射性物質は厳重管理するべき公害物質であることを明記するよう求めたいと思います。


新条例の趣旨と問題点
これは、「市民の生活環境及び自然環境の保全上の支障、災害を発生させるおそれのある土砂等の不適正な処理の防止について、必要な事項を定めることにより、良好な環境及び市民生活の安全を確保することを目的とした新しい条例」ですが、その条例案の中に、「土壌安全基準に適合しない土砂埋め立ての禁止」という項目があります。
詳細はこちら:https://www.city.kobe.lg.jp/documents/31285/gaiou.pdf

現在は、「土壌安全基準は規則で規定(土壌汚染対策法で定める指定基準と同値)」とあり、その土壌汚染対策法は第2条で「この法律において『特定有害物質』とは、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除く。)」という条文があることから、このままでは「放射性物質を除く」土壌安全基準になってしまいます。


国の法律の問題点
国の法律を見ると、2013年に環境基本法が改定され、環境基本法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法などの放射性物質適用除外規定は削除されました。しかし、今回問題となる土壌汚染対策法を始め、他の公害・環境法令は未整備のまま放置されています。

すなわち国の法律が未整備なために、土壌汚染対策法において放射性物質は適用除外になったままなのです

しかし、ご存じのとおり、福島第1原発事故により、大気や水と同じく、いえ、それ以上に土壌は、放射性物質によって汚染されました。残念ながら、その汚染は福島県内にとどまらず、関東、東北一円に広がっています。(詳細は*1)

私は国の法律の不備を補うために、神戸市の新条例の土壌安全基準に放射性物質を加えることは不可欠と考えます。以下に、その理由を説明します。


土壌安全基準に放射性物質を加える必要性について

福島県外の土壌汚染の濃度とその処分方法
現在環境省は、以下のような省令案を検討しています。
■福島県外の除染土埋立処分で環境省令案~濃度制限なし、地下水汚染防止策なし FoEJapan https://foejapan.wordpress.com/2019/03/18/0318/
「環境省は、福島県外の除染土の埋立処分をすすめるため、放射性物質の濃度によって上限を設けることなく、埋立処分できるとした環境省令およびガイドラインの記載案を発表しました。環境省は、福島県外において保管されている除染土壌の放射性物質の約95%は2500ベクレル/kg以下であるとし、30cmの覆土は行うものの、雨水流入防止や地下水汚染の防止等の措置は不要としています。すなわち、高濃度の除染土であっても、そのまま埋め立てることを許す内容となっています。」
参考資料 除去土壌の埋立処分に係る実証事業の結果について(中間取りまとめ案)
平成31年3月 環境省除染チーム http://www.env.go.jp/press/t04_mat01.pdf


しかし、現在でも福島第1原発以外の原発から発生した放射性物質は、100ベクレル/kg以上のものは、低レベル放射性廃棄物として厳重保管されています。

そして、下記が関東・東北一円の土壌汚染の実態です。

■原発事故から8年…数値が物語る日本「放射能」汚染の実態
原発事故から8年目の「17都県最新放射能測定マップ」は次のとおり(各地点で測定した土壌のセシウム134+セシウム137の数値を、減衰補正により2019年1月に換算して表した)。
■岩手県の土壌汚染:最高値3,030Bq/kg、中央値103Bq/kg
■宮城県の土壌汚染:最高値20,493Bq/kg、中央値249Bq/kg
■福島県の土壌汚染:最高値112,759Bq/kg、中央値1,291Bq/kg
■茨城県の土壌汚染:最高値4,219Bq/kg、中央値257Bq/kg
■栃木県の土壌汚染:最高値20,440Bq/kg、中央値335Bq/kg
■群馬県の土壌汚染:最高値2,490Bq/kg、中央値315Bq/kg
■埼玉県の土壌汚染:最高値1,153Bq/kg、中央値82.7Bq/kg
■山梨県の土壌汚染:最高値398Bq/kg、中央値16.2Bq/kg
■長野県の土壌汚染:最高値1,038Bq/kg、中央値3.92Bq/kg
■新潟県の土壌汚染:最高値397Bq/kg、中央値8.48Bq/kg
■千葉県の土壌汚染:最高値4,437Bq/kg、中央値339Bq/kg
■東京都の土壌汚染:最高値1,663Bq/kg、中央値65.3Bq/kg
■神奈川県の土壌汚染:最高値433Bq/kg、中央値46.5Bq/kg
■静岡県の土壌汚染:最高値515Bq/kg、中央値12.6Bq/kg
https://jisin.jp/domestic/1709440/(「みんなのデータサイト」インタビュー記事より)


残念ながら、上記を見ると、関東、東北から建設用に運びこまれる土、または不要になって持ち込まれ投棄される土も、100ベクレル/kgを越えるものが多くある可能性が否めません。


なぜ、原発事故よってまき散らされた放射性物質に、これまでの法律が適用されないの? この矛盾は、福島第1原発事故発生前からある法律「原子炉等規制法」と、発生後につくられた「放射性物質汚染対処特措法(特措法)」との基準の違いによりうまれました。

しかし、放射性物質には「福島原発由来」と書かれてあるわけではありません。このような例外がまかりとおれば、今後、他の原発や放射性物質取り扱い機関からの不法投棄があっても確かめようがありません。また、環境省は、2020年4月1日から、福島県内の8000ベクレル/kg以下の除去土壌の再利用を可能にする省令を実施する予定ですが、今の環境省の実施要項では、8000ベクレル/kgを越える福島原発由来の放射性廃棄物や汚染土壌の不法投棄があっても、まったくわからないようなものになっています。


放射性物質の取り扱いの大原則は厳重管理です。
徹底管理することにより、放射能から私たちの暮らしと未来を守るために、神戸市の条例の安全基準に放射性物質を加えることを求め、100ベクレル/kg以上の放射性物質は厳重管理するべき公害物質であることを明記するよう求めましょう。



今回のパブコメは、神戸市民(市内に在住・在勤・在学、事務所・事業所を有する方)はその旨を書き込むことになっていますが、市外の方もコメントできますので、皆さま、ぜひパブコメに意見をお送りください。
また、神戸市外の方も、ぜひ居住地の自治体の条例などを確認したり、問い合わせや意見送付など、ふるさとを守りいのちを守るため動いてください。

地方自治体の政策を変え、国の政策を変えていきましょう!



以下、小橋かおる関連ブログもご覧ください。

ブログ Words for Peace 
放射性汚染土壌がなぜ危険なのか?
空間線量では測ることなどできない、汚染土壌に多く含まれるセシウムボール(不溶性放射性微粒子)による内部ひばくの危険性を郷地秀夫医師の講演会を元にまとめさせてもらっています。
*1■ここまでわかった内部ひばく~セシウム・ボールのゆくえ~
http://flowersandbombs.blogspot.com/2019/06/

法律、条例でできることをまとめました。
■放射性物質拡散を止めるために、地方自治体からできること
http://flowersandbombs.blogspot.com/2020/02/

■放射性汚染土の全国での再利用の問題点
http://flowersandbombs.blogspot.com/2020/01/

■放射能汚染防止法の制定に向けて
http://flowersandbombs.blogspot.com/2019/05/

放射性物質は厳重管理。その施策を考えました。
■放射性汚染土・廃棄物を拡散しないために
http://flowersandbombs.blogspot.com/2019/01/

最後に:
1ベクレルとは、1秒間に1本の放射線を飛ばす能力のことです。すなわち8000ベクレルの土が目の前にあれば、そこから1秒間に8000本放射線が飛んできて、あなたの細胞に当たる可能性があるということです。土埃となった放射性物質を吸い込めば、肺の中で放射線を飛ばし細胞を傷つけ続けるでしょう。そのような公害物質は規制されなければなりません。

春の庭
この土壌と環境を放射性物質から守りたい・・・


This page is powered by Blogger. Isn't yours?