2016/05/01

 

兵庫県への申し入れの回答を受け取りました


回答受け取りの朝、
放射能社会を生きる連続セミナー部のメンバーとともに
4月26日(奇しくもチェルノブイリ原発事故から30年になる日)、3月にさよなら原発神戸アクション・放射能社会を生きる連続セミナー部として申し入れた「原子力防災の対策推進」について(要望3つ)の回答をいただきに、兵庫県企画県民部防災企画局 広域企画室に行ってまいりました。
(申し入れ文など詳細は3月のブログをご覧ください。)

 


私たちの要望が少しは検討していただけたものからご紹介すると。。。

1. 県内6カ所の放射線モニタリング情報の兵庫県ホームページへの掲載

これについては、「兵庫の環境」という外部リンクで原子力規制委員会HP等へのリンクで全国のリアルタイムの空間線量が閲覧可能である状態にあるとの回答でした。しかし、かなりクリックを繰り返さなければ、放射線モニタリング情報に辿りつかないことを再度説明させていただき、兵庫県ホームページの右端にある「防災情報」のコーナーから直接アクセスできるようにして欲しいと訴えると、「アクセスの簡素化に向けて考えたい」との回答を得ました。
後日、また確認していきたいと思います。

                             
兵庫県防災企画局との面談の様子

 2. 県内6カ所のモニタリングポストの改善および増設

現在、兵庫県のモニタリングポストはすべて測定可能な空間線量が毎時10マイクロシーベルトであり、避難の基準値を測定できない状態にありますが、その県内6カ所のモニタリングポストは国からの委託事業であり、「県としても増設などを国に働きかけていく」とのこと。 また、当面の対処としては、以前からの国の方針であるモニタリングカーなどに加えて、兵庫県としても「県下の消防本部(200強の箇所)が、核燃料輸送時の事故を想定して保持しているGMサーベーメーター(10ミリシーベルトまで計測可能)を有機的に活用できないか検討していきたい」との回答でした。

これは、私の感想ですが、消防本部が、原子力災害にも対応する部署であることが確認されれば、消防職員の方たちの原発事故や被ばくから身をまもることへの関心も高まり、一層現実的な対応計画も検討されることになるかもしれません。今後の行方を見守りたいと思います。


3.安定ヨウ素剤の事前配布に向けた取り組みの推進

「安定ヨウ素剤より、屋内退避が検討されている。」との回答。

1と2の要望に対しては、まだ前向きな対応が得られたと思いますが、肝心の安定ヨウ素剤に関しては、篠山市の安定ヨウ素剤事前配布の取り組みが全く考慮に入れられていないような従来通りの回答でした。この点については、かなり質問しましたが、「現在の兵庫県原子力防災計画専門委員会のメンバーが、安定ヨウ素剤による副作用や屋内退避の有効性を考えると、原発事故時には屋内退避が妥当という見解を持っているという事実を伝えているだけ」という姿勢でした。

そこで、「その専門委員会のメンバーは公表されているのか」聞いたところ、「6月を目処に新たな防災計画を発表するので、その前にパブコメを行う。そのための資料の中でメンバーやどのような検討がされたか分かるようにする。」とのことでした。

4月に起きた熊本大地震でも分かりますが、被災者の皆さんは余震でいつ家屋が倒壊するか分からない状態で、家の中よりも外で避難されています。大地震時に原発事故が起きたら、いったいどのようにして身を守ればいいのか・・・ほとんどなすすべもない私たちが唯一できることは、安定ヨウ素剤を服用して、放射性ヨウ素を取り込まないようにすることぐらいです。セシウムやストロンチウムなど呼吸から取り込んでしまうことは避けられないでしょうが、せめて放射性ヨウ素は取り込まないよう、そして将来の甲状腺ガンを発症する危険を少しでも下げるよう、安定ヨウ素剤の事前配布を重ねてお願いしたいと思います。

また、ヨーロッパでは原発への危機感が高まっており、ベルギーでは全住民への安定ヨウ素剤配布が、またオランダでも原発から100キロ圏内の妊婦と18歳未満の子どもへの配布が発表されています。*のリンク参照

パブリックコメントが開始されましたら、上記のような意見を提出したいと思っております。皆様もぜひ、意見を送ってください。
兵庫県パブリック・コメント


面談の最後には、現在も鹿児島県で稼働を続ける川内原発と、中央構造線近くに立地する伊方原発、稼働40年を越える高浜原発1,2号機の再稼働中止を、兵庫県民として申し入れました。以下に、申し入れ文書を掲載します。

「九州電力川内原発即時停止と
伊方、高浜1,2号機の再稼働中止」要請文を
広域企画室 平田室長に手渡す

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兵庫県知事 井戸敏三 殿
                九州電力川内原子力発電所の即時停止と
    伊方原発、高浜原発1、2号機の再稼働の中止の要請を求めます
                                       
                                                            2016年4月26日
                                                      さよなら原発神戸アクション
                                                放射能社会を生きる連続セミナー部

 私たちは、さよなら原発神戸アクションという市民ネットワークの中で、女性メンバーが中心に活動する放射能社会を生きる連続セミナー部です。2011年の東京電力福島第一原発事故により放射性物質が生活圏に存在するという、以前とは全く異なる環境において、自分や家族の暮らしと健康を守るために活動を続けています。

 2016年4月14日より、熊本県、大分県で地震が続発しており、もっとも震源に近い熊本県益城町では震度7の地震が連続し、大きな被害が発生しています。14日以降、震源域の広がりは、これまでの経験則があてはまらず、気象庁や専門家も「予測が難しい」状況であると報道されています。

 このような中、昨年8月の再稼働より、日本で唯一稼働している九州電力川内原子力発電所の運転は、継続されたままとなっています。川内原発は、今回の地震の震源とされる日奈久断層帯のすぐ南にあり、震源域が拡大する状況にあって、想定以上の地震が起こる可能性、そして重大事故につながる事態となる可能性を危惧せざるを得ません。

 私たちは、いまだ収束の糸口にも至らない福島第一原発事故を経験しています。原子力発電所で事故が発生すれば、被害は広範囲に渡り、図の桜島大噴火時の降灰予測にも見られるように、兵庫県にも放射性物質が降下する可能性があります。

 また、今回の熊本を震源とする地震が中央構造線という巨大な断層を刺激した場合、それに隣接する伊方原発の危険性はいかばかりでしょう?そして、4月20日には、関西電力高浜原発1,2号機の審査書が決定され、稼働40年を越える老朽原発の再稼働が進んでいます。高浜原発が重大な事故を起こした場合の兵庫県への影響の可能性は、2014年に兵庫県が発表した放射性物質拡散シミュレーションに見られる通りです。加えて、瀬戸内海や琵琶湖が汚染される事態も予想され、兵庫県への影響は甚大なものとなるでしょう。

 気象庁も「過去に例がない、予測は難しい」という地震活動が活発な時期に、同じ九州という島で、震源から140キロしか離れていない地点で稼働を続ける川内原発の即時停止と、兵庫県により過酷な影響をもたらす可能性のある伊方原発、高浜原発1,2号機の再稼働の中止を、九州電力、四国電力、関西電力、また関係省庁に兵庫県から要請いただけるよう、兵庫県民として強く求めます。
図:

内部被ばくを考える市民研究会・ブログより
川内原発が事故を起こせばどうなるのか?瀬戸内海まで広がる放射能汚染、東京、福島まで襲う火山灰。 投稿日:2015.08.18
http://www.radiationexposuresociety.com/archives/6138


= 関連リンク =
・気象庁「過去に例がない。今後の予測は難しい」 震源域内、広範囲で揺れ
産経WEST 2016年4月19日
http://www.sankei.com/west/news/160419/wst1604190075-n1.html
・高浜原発1・2号機 延長目指す原発で初の審査書決定
NHKニュース 2016年4月20日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160420/k10010490041000.html
・兵庫県 放射性物質拡散シミュレーションの結果について(2014年)
http://web.pref.hyogo.lg.jp/kk39/kakusansimu2.html
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最後に

「安定ヨウ素剤ってなあに?」というセミナーを11月に開催したことから始まった、今回の兵庫県への申し入れは、私たちにとっては初めての試みでしたので、不安もありましたが、こうして回答をいただけるところまで来ました。私たちのような小さなグループでも、兵庫県という大きな自治体に、申し入れ、提言し、少しは検討してもらえるところもあり・・・ということを経験し、これから、もっともっと自分たちが主体となって、県や市町村に働きかけていかなければならないと強く思いました。
これで終わりとは、私たち放射能社会を生きるセミナー部メンバーはまったく考えておりません。6月に改定されるという兵庫県の防災計画の内容を検討し、自分や家族の暮らしと健康を守るため、どんどん意見を申し入れていこうと思っています。

最後までお読みくださったあなたも、お住まいの自治体などに、申し入れなどのアクションを起こしていただければ、とてもうれしく思います。






*安定ヨウ素剤に関する世界のニュース
・全住民にヨウ素剤=原発事故に備え―ベルギー
時事通信 4月29日(金)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160429-00000012-jij-eurp

・オランダ、ヨウ素剤の配布対象を拡大 原発事故に備え
AFP 2016年04月30日
http://www.afpbb.com/articles/-/3085795?act=all


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