2025/07/21
PFAS「水質基準に引き上げ」で、神戸の水道水はどうなる?~水質試験所長と面談した市民の覚え書き~
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水質試験所に集められた各地で採取された水 |
7月1日、環境省はPFOAとPFOSについて、水道法上の「水質基準」に引き上げる省令を公布しました。施行は来年4月からで、全国の自治体や水道事業者には水質検査の実施や濃度が基準を超えた場合の改善が義務づけられます。また、現在の「PFHxS」に加え合計8つのPFASが「要検討項目」に位置づけられるとのことです。
これを受けて、2点、確かめたいことがありました。
1 神戸市ではどのように対応が変わるのか、特にPFOS・PFOAの合算値が基準値の50ng/Lを下回っているが40ng/Lのような「高い」値が検出された時には、どうなるのか?
2 要検討項目になる8つのPFASについての検査の方法や市民への情報提供方法は?
( 要検討項目になるPFAS群は、現在のPFHxSに加えて、PFBS、PFBA、PFPeA、PFHxA、PFHpA、PFNA、GenXの8つ)
そのような折、以前からPFAS問題に取り組んでいらっしゃる香川しんじ神戸市議の水質試験所見学に同行し、所長さんや職員さんと面談する機会を得ました。
結論としては、
1 神戸市としては、自治体独自に策定できる水安全計画において、内部運用としてPFOSとPFOAの管理基準値を合算で10ng/Lとし、その値を超える事態になったとき、低減措置をとることにしている。
2024年にアメリカで決まった規制値はPFOSとPFOAそれぞれ4ng/Lで、それよりも少し高い管理基準値ですが、現在のところ、神戸市の水道水は、おおむね合算で5未満~8ng/Lなので、この水準を今後も維持することを神戸市としては目指していることがわかりました。
注)神戸市を水源とするものは10ng/L、
阪神水道企業団から購入している水は15ng/Lが管理基準値となる説明でした。
現在のところ、どちらの水も、おおむね合算で5未満~8ng/Lです。
2 要検討項目となる8つのPFASについては、現在、測定の準備を進めていて、来年度からは現在水道局のHPでPFHxSを公表しているような形で、情報提供していく。
注)こちらのサイトからPFOAとPFOS合算値とPFHxSの値が確認できます。
■神戸市水道局 有機フッ素化合物の検査結果
https://kobe-wb.jp/suishitu/suidou-hozen/
関西では、PFOSに加えて、淀川のPFAS製造工場由来と思われるPFOA系の汚染を懸念しなくてはなりません。
PFOAは、もう製造はされていませんが、廃棄物やこれまでの排出による河川や土壌の汚染としての問題はまだまだ続きます。また、PFOA代替のPFHxA、PFHpA、PFNAが淀川から検出されていることを考えると、全く油断はできません。
注)こちらのサイトで淀川本川8地点における調査結果を確認できます。
■有機フッ素化合物(PFCs)の調査結果(令和5年度)大阪市
https://www.city.osaka.lg.jp/suido/cmsfiles/contents/0000499/499786/R5PFAS.pdf
来年度からは、これらのPFOA系の値を確認し、推移を把握できるようになることは、関西ではとても重要なことですので、検査結果を注視していきたいと思っています。
面談の後、実際にどのようにPFASの測定をするのか、試験所をめぐって説明をいただきました。
実は私個人としては、神戸市の水質試験所の訪問は2回目で、1度目は原発事故発生時の水道水の安全確保についてご説明いただいたのですが、その時と同じ所長さんで、今回もとても丁寧に、市民に安全な水を供給できるようできる限りの体制を整えていることを説明してくださいました。
市民の不安に応える機会を作ってくださった、つなぐ神戸市会議団の香川市議、そして、水質試験所の所長さん始め職員の皆さんに、心から感謝いたします。
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PFAS検査に使われる機器 (かなり高性能な機器とのことです) |
= 関連サイト =
■「PFAS」来年4月から定期的な水質検査を義務づけへ 環境省
NHK
NEWS WEB 2025年7月1日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250701/k10014849041000.html
■もしも若狭湾の原発のひとつでも事故を起こし、琵琶湖を放射能で汚染したら・・・
神戸の飲料水はどうなる??~水質試験所の所長と面談した市民の覚え書き~
https://flowersandbombs.blogspot.com/2023/03/
原発事故発生時の水道水の安全確保について、ご説明をいただいときのブログです。
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布引水源からの水で飼われているメダカ。 毒物が入れられるなど異変が起きた時にすぐさま感知できるように カナリアの役目をしてくれているそうです。 高性能の機器からメダカまで、さまざまな方法で水の安全を確保してくれています。 |