2026/03/18

 

日本の選択肢プランB@布施祐仁講演会

 315日、「沖縄・西日本各地で進む戦争準備と神戸港の役割」と題したジャーナリストの布施祐仁さんの講演を聞きました。講演の大部分は、米軍の思惑に沿って軍備や体制を整えていく日本の軍拡、すなわち、ほとんどの国民が気が付かないうちに、日本列島がミサイル発射の要塞と化し自衛隊が米軍と一体化し、核も持ち込まれようとしているという、日米軍事一体化の現状でしたが、この状況から脱却するためのプランBについて、布施さんのお話をまとめてみたいと思います。

 

日本のように、今からどれだけ軍拡しても中国や米国と言った軍事大国に追いつくことはできない小国の選択肢はふたつ、すなわちプランAB

 

プランAは、大国と同盟関係を結び他国からの攻撃を防ぐこと。現在の日米同盟です。このメリットと引き換えに、日本は、米国にコントロールされる状態に甘んじなければならず、また、米国の戦争に巻き込まれます(日本が戦闘に加わらなくても、日本の意志とは関係なく、在日米軍基地は戦争に使われています)。

 

プランBは、外交、相互依存関係で戦争が起きないようにする。すなわち「力による支配」ではなく、「法の支配」と信頼関係の重視です。

 

こう言うと、「外交で解決するはずがない」とか、「中国に支配されたいのか?」と、ネット上ではものすごい批判がくるのですが(と、布施さんも苦笑いしながら話されていましたが)、実のところ、プランBを採用している小国の方が多数派です。

 

例えば、ASEAN諸国(東南アジア諸国連合)です*。ASEANは、ベトナム戦争終了後、いち早く冷戦思考(プランA)から脱却し、「東西対立の最前線」から、「平和共存の発信源」へと歩んでいます。

 

もともとは、反共軍事同盟として発足したのですが、ベトナム戦争終結の70年代後半から、政治体制の異なるベトナムやラオスとも共に地域経済の発展をめざす、経済協力機構に変質し、今に至るのです。

 

中国との対話による予防外交は、1988年の南シナ海のスプラトリー諸島で中国とベトナムが武力衝突して以降、1990年、インドネシアが「南シナ海の潜在的紛争の制御に関するワークショップ」を開始、1991年、ASEAN・中国間の対話開始と続き、2026年までの37年間、武力衝突は起きていません。

 

「でも、ここまで大国となった中国、これからは違うだろう?」という意見もあるでしょう。もちろん、中国を信頼しろとは言いません。中国に対話路線を続けさせるのですと、布施さんは強調しました。

 

世界は激変しています。20世紀のようにG7が世界の経済の大半を握っていた世界から、今やグローバル・サウスと呼ばれる新興・途上国が世界GDP40%以上を占める世界になっています。中国の輸出相手国のトップもASEAN諸国です。

 

2021年に開かれた「中国ASEAN対話関係樹立30周年記念サミット」で、習近平国家主席はこう演説しました。

「今後の中国ASEAN関係について提案をしたい。第一、共に平和な故郷を築く。平和がなければ、何事も話にならない。平和はわれわれの最大の共通利益で、各国人民の最も大きい共通の願いでもある。」

 

アメリカか中国か、という20世紀的なパワーポリティックス的発想から脱却し、多極化する世界への対応が必要です。

 

世界の多極化は、無秩序な世界という可能性もありますが、小国が連携して大国をコントロールし平和を保つという可能性もあります。

 

そして、この多極化する世界が示す現実は、米国の国力の低下です。

日本は、このまま日米同盟の元「主権なき」ミサイル発射台のような状態のまま(プランA)、国力の低下した米国に翻弄されるのか、それとも小国の連携に加わるのか(プランB)?

 

プランBを目指しませんか?との布施さんのお話でした。

 

現在の中東の混乱を引き起こしたトランプ政権の無謀さと無責任さを見ると、ほんとうに日本は岐路に立っていると深く考えさせられる講演でした。

 

 

*注:ASEANについては、外務省のサイトから補足説明します。

1967年の「バンコク宣言」によって設立されました。原加盟国はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの5か国で、その後ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア、東ティモールが加盟し、現在は11か国で構成されています。2015年に共同体の設立を宣言したASEANは、順調に経済発展を遂げ、今や、世界の成長センターとして注目されています。

 

追記 1

外交によるプランBが日本の現実的選択であろう、もうひとつの理由も触れられていたので追記します。

〇日本の自衛隊は戦えるような組織ではない。

なぜなら、慢性的に人員不足で、特に実際に動く兵士クラスは6割ほどの人員しか確保できていない。通常、2割の不足で作戦は実行できないとされているので、4割不足は話にならない状態。それをAIなどによる無人化やアウトソーシング(医療、運輸、建設)でなんとか穴埋めしようと画策しているのが現状。

でも、そのアウトソーシングしようとしている分野って、今、日常生活でも人手不足で困っている分野ですよね?

 

追記2:「主権なき国家」日本の軍事要塞化の詳細については、布施さんのご著書をお読みください。

単著:布施祐仁『従属の代償 日米軍事一体化の真実』講談社現代新書、講談社、2024

共著:伊勢崎賢治・布施祐仁『主権なき平和国家―地位協定の国際比較からみる日本の姿』集英社クリエイティブ、2017


参加した講演会のチラシ


 

 

 


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